4年制大学で看護師と助産師の資格を取得。
産科病棟・NICU・GCUでの勤務を経験し、独学でフリーランスになる。
現在は在宅ワークライフを満喫中♪
- 助産師の実習はきついって本当?
- 看護学生の実習とのちがいは?
- 私でも助産実習は乗り越えられる?
こちらの記事は、助産師になりたい人・助産学生さんに向けた内容です。
助産実習は、よく「きつい」と言われますが、人間としての学びや気づきもとても多い実習です。
この記事では、助産師の私が、助産実習がきついといわれる理由について解説します。
実体験をもとに解説!
- 助産学生の実習がきつい理由
- 看護実習と助産実習のちがい
- きつい助産実習を乗り切るコツ
助産師になりたいと思ってる、看護師さんや看護学生さんは、ぜひ参考にしてみてください。
\ 助産実習が不安な人におすすめ! /
助産学生の実習内容とは
助産師学生は、妊娠・出産・育児、それぞれについて実習を行います。
その中でも、助産師になるために必要不可欠である「分娩介助の実習」はきついといわれます。
分娩介助の実習は、助産師になるために必要不可欠な実習です。
赤ちゃんを取り上げることだけでなく、分娩が始まったばかりの産婦さんのケアや分娩後のケアまでが実習の範囲となります。
- 分娩中の診察
- 分娩を進めるためのケア
- 分娩の痛みを和らげるケア
- 分娩介助
- 新生児の管理
分娩介助の実習は、実習期間が長く大きな責任をともなう内容であることから、辛いと思う助産学生さんが少なくありません。
助産学生の夢でもあり
大きな壁…
助産学生の実習がきつい理由6つ
助産学生の実習(分娩実習)がきついと言われるのには、いくつかの理由があります。
ここでは、助産学生の実習がきつい理由について、助産師あるあるも踏まえながら考えてみます。
絶対に達成しなければならない10例ノルマがある
助産師になるためには、正常分娩を10例ほど介助することが必要とされています。
実習中分べんの取扱いについては、助産師又は医師の監督の下に学生一人につき十回程度行わせること。
保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和二十六年文部省・厚生省令第一号)
つまり、10例介助ができなければ助産師国家試験の受験資格がもらえなくなってしまうため、実習期間中に10例以上の分娩を介助しなければなりません。
助産学生は、いつも10例の分娩介助をできるのかという焦りと不安を感じています。
自分が待機している日にお産を取れるかは、運の要素も大きい部分でもあります。
不思議なことに、お産に当たりやすかったりお産が進みやすい人と、全然当たらない人がいるのです。
これは助産師あるある!
もちろん、産婦さんの同意がなければ助産学生は実習できません。
そもそも、学生が介助できるのは、妊娠中の経過に問題がなくリスクが低いと判断される産婦さんだけです。
病院の中にはお産を控えている人はいても、学生の実習対象となる産婦さんが少ないこともあります。
自分ではコントロールできないことに向き合いながら実習をすることが辛さにもつながっていきます。
[ 助産学生の心がけ ]
学生だけで動くことはないとはいえ、産婦さんが助産学生の実習を受け入れるのは、とても勇気のいることです。
人生の大事な場面に学生という身分で関わらせてもらえる感謝を忘れてはいけません。
わたしも、分娩介助の実習では10名以上の産婦さんに協力していただき、たくさんのことを学べました。
助産学生は、「立派な助産師になる」という気持ちで実習に挑むことが大切です。
ママたちには
感謝でいっぱいです
周りと比べて焦りやすい
助産学生は、いくつかのグループに分かれて実習をしますが、周りの助産学生と分娩介助の症例数に差が出てくると焦ってしまい、きつく感じることがあります。
分娩になりそうな産婦さんを受け持てたとしても、実習時間内に分娩介助までたどり着けるかどうかは、わかりません。
例えば、次のようなケースがあります。
【実習1日目】
A助産学生:受け持ち→分娩介助1例
B助産学生:待機
【実習2日目】
A助産学生:待機
B助産学生:受け持ち→分娩まで至らず
【実習3日目】
A助産学生:受け持ち→分娩介助2例
B助産学生:受け持ち→分娩まで至らず(分娩介助0例)
学校の教員や指導担当の助産師さんが、なるべく同じペースで進められるように配慮はしてくれますが、タイミングによって、分娩介助の数に差がつくことはよくあります。
指導者との関わりが深い
指導をしてくれる助産師さんとの相性が悪いと、実習がきついと感じやすくなります。
どの実習においても、指導者さんとの相性は実習のきつさが決まる重要な要素です。
しかし、助産学生の分娩実習では、学生1人に対して指導者が1人つくため関わりが密になりやすいのです。
指導者さんと合わないことが、きついと感じる原因になることは少なくありません。
看護師さんより優しい人が多いから、あんまり心配しなくても大丈夫かも!
実習期間が長い
実習期間が長いことも、助産学生が実習をきついと思う理由の一つです。
助産学生の実習の中でも、分娩実習は2〜3ヵ月と長期間にわたって行われます。
看護学生の領域実習:2〜3週間
助産学生の分娩実習:2〜3ヶ月
助産学生の実習は、看護学生の時よりも大幅に長くなります。
いつお産があるかドキドキしながら受け持ちをする。
緊張して分娩介助について睡眠不足になりつつ記録は滞りなく終わらせていく、というハードな実習が2〜3ヶ月続くと、きついと感じるのも当然です。
また、実習期間が長いため、金銭的にも辛いと感じる助産学生もいます。
看護学生であれば実習をしながら週末だけバイトをする人もいますが、助産学生は実習中にバイトできないのが現状です。
助産学生のバイトについては、次の記事で詳しく解説しています。
オンコールで呼び出しがある
全ての助産学生が、平日の実習時間だけで10例ほどの分娩介助をできるとは限りません。
実習期間に10例の介助ができない可能性があると判断されると、オンコール体制となり休日や夜間に呼び出してもらって実習をすることもあります。
病院から連絡があったらすぐ病棟に行けるように準備しておかないといけないので、ぐっすり寝れずに精神的にも疲れるので、きついと感じることが多くなります。
病院に行かなくても
緊張で疲れる…
寝れない
助産学生の実習はハードであり、看護学生の実習のときより睡眠時間が短くなりがちです。
基本的には実習時間内に分娩になりそうな方を受け持ちますが、分娩件数が足りないと夜間まで実習をすることもあります。
もちろん、夜間まで実習をしたからといって、次の日の実習を休めるわけではありません。
実習時間に対しての記録量が多いことも、寝れない原因です。
ただでさえ辛いことがたくさんある実習中に寝れないことで、よりきついと思うことが増えます。
看護実習と助産師実習のちがい
ここでは、看護実習と助産実習(分娩実習)の違いについて説明していきます。
看護学生さんは必見!
2人分の命を預かる
助産学生は、お母さんと赤ちゃんの2人分の命を預かります。
看護学生と同じく何かするときは必ず指導者や教員と一緒に行うとはいえ、助産学生は観察一つをとっても直接命に関わっているのでプレッシャーは桁違いです。
個人の能力が重視される
看護実習では、教えあったり協力し合ったりして、実習グループでの助け合うことが重要です。
助産学生の分娩実習も少人数のグループで行きますが、実習中はそれぞれの受け持ちの方に合わせたリアルタイムでの行動が求められます。
助産学生だろうと、助産師だろうと、分娩は待ってくれません。
学生同士で話し合うよりも、その都度、指導担当の助産師さんと相談することが多いのです。
もちろん、わからないことは聞いたり愚痴を言い合ったりはしますが、看護学生よりは個人プレーになるのが大きな違いの一つです。
看護学生のときよりも良くも悪くも学生扱いされなかったよ
記録のスピードが早い
助産学生は、分娩介助を1例するごとに、受け持ち開始〜分娩終了までの記録をしなければいけません。
実習記録は多いというのは、看護学生と同じかもしれません。
しかし、助産学生は、基本的に1例分の記録ができるまで次の介助にはつけないという決まりもあります。
助産学生は実習期間内に10例以上を介助するためにも、記録は早めに終わらせないといけないのです。
きつい助産実習を乗り切るコツ
きつい助産実習を乗り切るのに役立ったことをお伝えします。
すべてを効率化する
助産実習中は、とにかくすべてのことを効率化しましょう。
家事などの実習以外のことは次のようにすることで、効率化できます。
- レトルトや冷凍食品を使う
- 洗濯乾燥機を使う
- 大量買いして買い物回数を減らす
実習記録を効率化するには、iPadやタブレットを活用するのがおすすめです。
まだ紙媒体を使っている人が多いかもしれませんが、教科書や参考書をiPadにまとめるとすぐに知りたいことを検索できるので、リサーチの時間を圧倒的に短くできます。
Kindle Unlimited
分娩実習中は新しく本を買いに行く時間を取れないことが多いので、電子書籍サービスを上手に使うのがおすすめです。
助産学生や看護学生におすすめの電子書籍サービスについてはこちらに詳しく書いています。
助産学生同士で話をする
実習できついことや辛いことがあった時は、助産学生同士で話してみましょう。
助産学生の気持ちは、助産学生が1番よくわかります。
話し合うだけで、気持ちが軽くなるかもしれません。
私も玄関前で2時間くらい話したことがあったよ(笑)
しっかり食べてなるべく寝る
実習中の助産学生は、睡眠不足になりがちです。
実習の記録などが最優先になるのは仕方ありませんが、余裕がある日や休日はなるべく寝るようにしましょう。
睡眠不足がつづくと、より気持ちが沈みやすくなってしまいます。
また、忙しかったり辛い気持ちが続いていたりすると食欲が落ちるのもよくあることです。
食べやすいものでいいので、なるべく食べるように心がけましょう。
- フルーツゼリー
- うどん
- ウイダーインゼリー
- インスタント麺
- おにぎり
なりたい自分をイメージする
助産学生の実習がきついのは、仕方のない部分もあります。
助産学生の分娩実習は、助産師になるためには避けて通れない道です。
気落ちが落ち込んでしまった時は、目標を再確認してみたり将来の自分を想像してみたりしましょう。
- どんな助産師になりたいか
- 助産師になるためにやるべきことは?
- 助産師になったらどんなことをしたいか
明るい未来を想像できれば、少しは気持ちがラクになるかもしれません。
助産実習はきついけど、学びも多い実習
助産学生の実習は、きついことがたくさんあるのも確かです。
しかしその一方で、とても学びが多く充実した時間になるのも事実です。
私も、助産実習の期間は、ひとりの人間としてもとても価値のある時間だったと思っています。
助産実習では、助産師になるための知識や技術はもちろん、助産師のケアの対象である赤ちゃんやお母さん、その家族をとりまく社会や課題についても考える機会になります。
助産師になるのは大変な道のりですが、本気で目指したい人はぜひ挑戦してみてください!
大変だけどいい仕事だよ♪
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